«FC2ブログランキング»

ポチッと押してくれたら、管理人がかなり喜びます。

FC2ブログランキング

«TIME black»

«プロフィール»

鳥吉-Toriyoshi-

Author:鳥吉-Toriyoshi-
【自己紹介】
現役バリバリの工大生です。
・【趣味】は、TVで野球観戦、古本屋での立ち読み、写真撮り、モノ書きの真似事
・【好きなもの】は、塩分の多そうなもの(例:塩辛)、甘いもの
・【嫌いなものは】、熱くて、辛いもの(例:カレー)、苦いもの
・【好きな小説】は、「空の境界」、「老人と海」、「ホームズシリーズ」
・【好きな作家さん】は、奈須きのこ、ヘミングウェイ、コナン・ドイル、星新一
・【好きな漫画】は、「トライガン」、「ブリーチ」、「うしおととら」、
・【好きなジャンル】は、アクションファンタジー、伝奇小説
・【好きな歌手】は、「CHAGE&ASKA」、「doa」、「Mr.Children」、「福山雅治」、「Gackt」
・【好きな神話】は、北欧神話。(何気に私の小説に出そうかなと、思案中・・・。)

«リンク»

«最近の記事»

«最近のコメント»

«カテゴリー»

«月別アーカイブ»

«天気予報»


-天気予報コム- -FC2-

«BlogPet»

«FC2カウンター»

«FC2オンラインカウンター»

現在の閲覧者数:

«ブロとも申請フォーム»

«ブログ内検索»

«RSSフィード»

«By FC2ブログ»

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

«Copyright»

「ど素人小説」より-An amateur novel-

初心者ですが、空想妄想その他もろもろを働かせて必死に書いていますので、よろしかったら見てやってください。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- (--) / --:--

スポンサー広告 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) / PAGETOP

Chapter28:「Visitor」


 夏樹と普天の坊主が店を出てから、まもなく来客が訪れた。

 ・・・・否、現れていた。


「やれやれ。あの言い方はないんじゃないか?」

 突然の声に驚き、商品棚のほうに振り返る。そこには、俺の顔をニヤニヤと見ながら、金髪の男が店の商品を勝手に食っている姿があった。

「ルイス・・・?!来てたのか?!いつから?!」

「そうだなぁ・・。『悪い悪い。電話が長引いてしまってな』あたりからかな。」

「あ〜なるほどね・・・って!それ最初からじゃねぇか!電話では、これから来るって・・・・!」

「あ〜、あれ嘘。実は、電話終わる頃には、店前まで来てたんだよね。で、暇だったから屋根裏からこっそりと話を盗み聞きしていたと。」

「・・・最低だ・・・。お前最低だ・・・。ついでに言うと、今まで食っていた駄菓子代、ちゃんと払えよな」

「まぁまぁ気にしない気にしない。それにしてもこのスナックはなかなかに美味だねぇ〜。この塩加減がたまらない」

 払う気ゼロといった様子でルイスは話を逸らした。これでツケが5桁になったことをこいつは知っているのだろうか・・・。というか、駄菓子で万円単位分食ってること自体ありえない。店を潰す気かこいつは。

「まぁ、そんなことよりもさ、面白そうな青年だったじゃないか。あれが噂になっている『普天家』の跡継ぎ候補だろ?」

「ああ。でも、それとこれとは話は別だ。お前もわかってるんだろ?あいつの剣ではゾンビは切れない。かと言って、剣を変えたところであいつは別に剣の腕が特別言い訳でもないから使い者にはならない。そういう奴は、はっきり言って戦力外だし、無駄死にするのが目に見えている」

「やれやれ。はっきり言うねぇ・・。少しは、慈悲の心ってやつを持ったほうがいいぞ?ま、それは仕方ないとして、だ。気になることを言っていたね、彼。」

「ああ。普通、どんな超能力であっても、同じ部位に2つ以上の能力が重なることはないはずなんだが・・・。なのにあいつは『霊視』と『未来視』を持っている・・・。こんなことあるのか?ルイス」

「そうだね・・・。以前に両目に1種類ずつ、2つの能力を持つっていう能力者に会ったことがある。おそらく、それと似たようなもんだと思うんだけど。しかし、それなら、瞳にもある程度の影響がでていてもおかしくないはずだ。たとえば、オッドアイになってるとか、隻眼になっているとか・・・。」

「そうなんだよな・・・。」

 あの坊主の目は間違いなく、ひとつであった。ならば、そこに付く能力も1種類と決まっている。・・・決まっているはずなのに、奴の目は常識は逸していた。まぁそもそも能力を持っている時点で常識を逸しているのだが。
 
「とにかく、このことは協会には黙っておこう。下手に言うと、あの子までフリークスに指定されかねない。」

「・・・ああ。」

 しんみりとした雰囲気が場を包み込む。が、それもわずか一瞬のことで、ルイスは慌てて立ち上がった。

「と。そんなことを語り合いに来たんじゃない!!悪い知らせだ!」 

「あ?なんだ急に慌てて。」

 顔には焦りが見え、ただならぬ事態であることを物語っている。この能天気天然野郎がここまで焦る事態なんて・・・・地球滅亡くらいしかないと思っていたんだがな・・・。

 しかし、そんなのん気なことを考えていた俺に放たれた内容は、こちらの想像を絶するものだった。


「協会が数日後に動く。早く傀儡師とケリをつけないと、お前も危険だ」



               *
 


 協会に1つ大きな石碑がある。そしてそこには、欠けた文字でこう書かれている。

 『フリークスは抹殺せよ。それが汝にとって如何なる存在であろうとも。それが世界にとって如何なる存在であろうとも。慈悲なく、容赦なく、確実に。それが我々の使命であり、存在意義である。』

 彼らはこの言葉だけを信じ、そのためだけに活動している。ときには、友人だった者を、ときには身内だった者を、ときには仲間だった者を。彼らは迷わず殺してきた。


  『フリークスは殺せ。』

 彼らにとって、これは絶対命令だ。だから。彼らがこの地に足を踏み入れる前に早く終わらせなければならない。

 
 そう、この街でフリークスと呼ばれる存在は「黒の傀儡師」だけじゃないのだ。 



 この俺もまた、協会に『フリークス』と呼ばれる存在なのだから。


 
<続く>

more...

2008/01/08 (火) / 02:01

Chapter29:「Doughnut」


 ――――― 街が震えていた。

 すれ違う人間は誰もが暗く沈み、お通夜の帰りを連想させた。天にはサンサンと太陽の目映い光で溢れているのに、日陰の中を歩いているようなジメジメとした感じがした。


「・・・・・一昨日は・・・こんなかんじだったっけ?」 

 二日前までの朝の賑やかさ・・・・を通り越して騒がしかったあの騒音団体さんは何処へやら・・・。

 誰もが人間不信にでもなったかのように人と目を合わせずに地面ばかりを凝視して足早に人並みを通過する。うかつに話しかけたら噛み付かれるんじゃないかとさえ思ってしまうほどの警戒が彼らの周りには張り巡らされていた。

 この警戒態勢は、大学内にも例外なく発揮されていた。

 全くもってこの緊迫した街の雰囲気の理由が分からない僕は、小首をかしげながらお通夜会場と化した教室に足を踏み入れ、暗い暗い講義を受けたのであった。


                 *


「いぃぃぃ〜〜やっほぉぉぉぉ!!かずまはっけーーーんっ!!」


 お昼休み。さすがにこのじめっとした空気に耐え切れず教室を後にした僕の背に二日前となんら変わらないハイテンションな声が衝突してきた。もし、あの声が物体と化していたのなら間違いなく僕の体はえび反りしていただろう。


「・・・・緑岡先輩・・・あいかわらずですね・・・って、うわぁああ!」

 ぼふん!

 呆れながら振り返った僕の顔面に袋に入った何かが衝突した。慌てて顔から剥がすとどうやら中身はドーナツのようである。が、そんなことをのんびり確認している余裕なく、彼女はもう僕の正面にまで歩み寄っていた。

「ふふふふ・・・・!ようやく来たわね・・・・反逆者め」

「は・・はい?!なんのことですか?」

「うるさい!私との誓いを破り、のんびりと丸一日ズル休みをした生命体に反論する余地などないわ!」

 と、不気味な笑みを浮かべながら、右手に握られていた食べかけのドーナツと思われる物体をぐっしゃあと握りつぶした。

 ああ、なんでこの人はこんなにいつもハイテンションなんだろうと関心しつつ、訳のわからない理由で自分の生命活動の危機に直面していることに困惑していた。


(反逆者・・?誓い・・・?一体、僕は二日前に何を・・・・・・。)


ポワンポワン・・・・・チーン

「・・・・・・・あ」

 不覚。アレのことを今の今まで忘れているなんて・・・・。

 背中に悪寒が走る。たぶん今の僕の顔は教室にいる人間にも負けぬほどに真っ青な顔をしているだろうな。

「ふふふふ。思い出したようね反逆者!さぁ、どう言い訳するつもりかしら?」

「いや・・・あの・・・その・・・」

 まずい。別に悪いことしていたわけじゃないし、約束どおり例のアパートにも偵察に行ったし、問題はないはず。だが、今の今まで忘れていたことに加え、何も手土産はないという現状を素直に語って許してもらえるような現場でもない。

 だから、僕はとっさにいつものパターンを使うことにした。

「・・・・・いたんですよ。」

「・・・・・なにがよ」

「霊ですよ。霊。それも、莫大な量の」

「?!・・・・・・うそっ・・・・それマジ?」

 彼女の瞳はキランと光る。それは、獲物を見つけた肉食獣に似ている。だからここぞとばかりに嘘でまかせのオンパレードをかます。

「マジもマジ。大マジですよ。あまりの凄さにその場で気絶しちゃいまして風邪ひいちゃったんですから。あ、もう治りましたけど」

「・・・・・・・写真は?」

「・・・・慌てていたので撮れてる自信はありませんが・・・一応シャッターはきったんで可能性はありまっせ?」

「・・・・・・・・ふ。ふふふふ!よっしゃあ!でかした!さすが我が弟子一号!明日絶対カメラ持ってきなさいよね!」

 さっきまでの邪悪な顔はそこにはなく、まるでクリスマスにお人形を受け取った幼稚園児のような満面の笑みを浮かべていた。

 (・・・・・よし!完全に食いついた!)

 おそらくさっきまでの怒りは忘れてしまっているに違いない。うん。嘘はいけないけど、この場合は仕方ないよなぁ。


 とりあえず、明日までに心霊写真もどきを撮影してこなければいけないなぁと考えながら、僕は手元の袋からドーナツを取り出して口に入れるのであった。


<続く>

more...

2008/01/09 (水) / 00:39

Chapter30:「Reencounter.2」


 基本的に新聞は読まない。テレビもあるが、ここ最近はつけてもなかった。だから、最近のニュースに疎くて当然といえば、当然のことだった。

 だから、先輩から聞かされたその話は、あまりに唐突で座っていたパイプイスからずり落ちそうになった。

「今・・・なんて?」

「だから、連続殺人よ!昨日晩だけで20人も死体が見つかったのよ!どの被害者も例の『死神』と同じ手口で殺されているから、たぶん奴の犯行で間違いないわね。」

 オカルト研究会の部室の暗さとそのあまりにショッキングな内容のせいか、背筋に冷たいものが流れた。

「・・・・そんなことが・・」

 しかし、これで今日の街の住人が暗く沈んでいる謎は解けた。たった一晩で20人もの犠牲者が生まれた殺人事件が自分の街で起こったのだ。今じゃ、街中を歩くことはおろか、家の前に出るだけでも命がけといっても過言ではないだろう。

「まったく!こんな重大なことすら知らなかったなんて・・・!こっちは、あんたもその犠牲者の一人になっていないか心配してたっていうのに!というか、いい加減携帯くらい買いなさいよ!」

「あ・・はい・・・すいません」

「で。拓也のやつはどうしたのよ」

「は?」

 そう言われて初めて気づく。そういや、今日は拓也に会っていない。

「なによ。いつもは馬鹿みたいにいちゃいちゃしてるくせに。休み?」

「さぁ・・。わかりません。」

「そう。でも、昨日はあんたの家に来たんでしょ?なんか言ってなかったの?」

「は?・・・・・僕の家に来た?」

「ええ。あんたが生きてるかを確認させにね。」

 それは、初耳。・・・というか、とりあえずこれでもうひとつの謎は解けた。そうか。あの不気味なビニール袋の主は、拓也だったか。あの中身の処分には困っていたからこの情報はありがたい。捨てたり、勝手に食ったりしたら祟られるんじゃないかとビクビクしていたのが馬鹿みたいだ。

「何よ。こなかったの?」

「いや・・あの・・・たぶん僕の外出中に来たんだと思います。だから直接会ってはないんですけど・・・。手土産は残してくれてましたけど。」

「ふーん・・・」

 何か引っかかるような返事をしながら、先輩はじとっと僕の目を見た。間違いない。この人、信じてない。

 なにか嫌な空気が流れ始めたとき、唐突に部室のドアが開き、一人の人物が現れた。


 地獄で仏とはこのことか?!

 その人物は、暗室の中にいる僕らの存在に気づくと、慌てて会釈し、挨拶をする。どうやら新入部員さんらしい。僕はまだ新しく入部した子には会ったことがなかったので、会釈をしている人物のほうを見てみる。


 その人物はゆっくりと会釈していた頭を上げ、

 そして。僕と目があった。


「「・・・・・・・・・・・・・・・え?」」

 互いに固まった。

 先輩は、固まっている僕とその人物の顔を交互に見、首をかしげる。

「なに?もしかして知り合いなの?」
 
 そして、そんなことを聞いてきた。


 そうですね。

 簡単に。極めて簡単に答えるのならば。

 『殺し、殺されの仲』といいましょうか。


 僕は、突然目の前に現れた死神『日瀬夏樹』を見ながら、そんなことを考えていた。

<続く>

2008/01/11 (金) / 01:11

 去年の紅白。

 見まい見まいと思っていても、結局他に見る番組もなかったため例年通り見ることに。

 相変わらず知らない演歌や、アイドルの歌ばかりが流れ、憂鬱な状況だったときにようやくあの方が登場。

なんか演出とかこりすぎてて笑ってしまったのを覚えてます。ちょっと台詞が多い気もしましたがかっこいいから許す!


2008/01/12 (土) / 10:55

Chapter31「WatchDog」

                
 天を明るく染めていた太陽のゆっくりとビル群に飲み込まれていく音が街を包む。その音色は木枯らしのように見えない音符となって忙しく路上を徘徊する人達に冷たく吹きかけていった。
 それに伴い、空の色もオレンジ色から淡い黒へと移行していき、今日という日が闇の中に落ちていった。

 そして、人知れずにまた昨日と同じような恐怖の夜の時間が幕開こうとしていた。


                   *


 そんな最後ともとれるようなオレンジの光をバックにし、ひとつの影が細い路地裏を歩く。傍らには、熊を小さくしたような黒犬が地面に鼻が擦れる寸前まで首を下げたまま前進していた。その太い首には銀色の鎖が何重にも巻きつけられていたが、その犬を繋ぐ綱というわけではなく、行き場のない鎖の端側はアスファルトに触れるたびにジャラジャラと喧しい音を立てていた。しかし、そんなことにはおかまいなしに犬も人影もそれを気にすることもなく、黙って道を歩き続けていた。
 その姿は、他人が見ればあまりに不可思議であまりに怖ろしく映っていた。そのためか、すれ違う人間は繋がれていない犬とその飼い主と思われる人間に怯えながら足早に横を通り過ぎて行った。

 そして、今も一組の親子がそれらの前まで歩いてきていた。母親と思われる女性とまだ幼い女の子は買い物からの帰りなのか、二人でひとつの小さい買い物袋を持ち、ゆっくりゆっくり道を歩いていた。が、彼らの姿に気づくと母親は娘を庇うようにしながら、彼らと目を合わせずに横を小走りで通り過ぎていった。一方。なんで避けているのかわからない娘は、母親の行動を不思議に思いながらも彼らのことを凝視していた。


 母親は、無事彼らの傍を通り過ぎたことでほっと軽く息を吐く。そんな母親に娘は尋ねた。

「ねぇねぇ。わんわんっておめめいくつあるの?」

「え?」

 あまりに唐突な質問に意味が分からないまま母親は答える。それも当たり前な回答を。

「わんわんもママもみーんなおめめは2つよ」

「ふーん・・・・。でもねママ」

 娘は不思議そうな納得のいかないような顔をしながら、呟いた。

「あのわんわん。おめめ3つあったよ?」

 そんな娘の言葉に眉をひそめながら母親は、優しく「あらあらそれはすごいわね」と声をかけるのであった。


                   *


「わかったか?」

 黒犬の主人と思われる男は、足元の犬に声をかける。その声に反応した犬は悲しそうな目で男を見上げ「くぅん」と小さく鳴いた。

「そうか・・・。既に残り香も消し去ってしまったか・・・」

 彼の立つこの道で昨日晩、20人もの犠牲者が生まれていた。しかし、案の定証拠になりそうなモノは臭いすら残っておらず、ただただ風が吹き抜ける寒い現場だけがそこに残されていた。

 無駄足だったか。そう思い、その場を後にしようとしたとき、聞き覚えのある声が耳に入った。

「ん?先客がいましたか」

 声の主の方へ振り向く。そこには、白いコートを羽織り、寒そうな顔をしながら立っている金髪の男の姿があった。ただそれだけの情報だが、この男を忘れるわけはない。ある意味。この街で一番の有名人なのだから。

 ルイス・ロックウェル。つい先日まで殺しあう寸前までにらみ合いをしていた相手だ。

「あんたも来てたのか。魔術師」

「やぁ奇遇ですね。『番犬』さん。まさか、あなたまでこんなことに首を突っ込んでいるとは思いませんでしたよ。それとも仕事ですか?」

「ふん、別に。ただの興味半分だ。明日になればやめるよ」

「明日?」

「ああ。そうだな・・・ちょうどいい。さきほど仕入れたネタを特別に教えてやるよ。ほんとは金を払ってもらわなきゃ教えられないくらいにビッグなネタだけどな。」

「はい?なんでしょう」

「この街に協会が来るって話だ。」

「ああ・・それでしたか。・・・残念ですが、その情報は私も知って・・・」

 残念そうに喋る魔術師の言葉を遮り、男は話を続けた。

「明日。協会の使者が現状確認にこの街を訪れるそうだ。」

「へ?・・・・・あし・・・・た・・?」
 金髪の男はそれだけ呟き、沈黙する。その表情は凍りつき、青ざめている。おそらく彼のもとにもこれに似た情報が入っていたのだろうが、フェイクだったに違いない。そもそも協会はそういうところなのだ。たとえ、相手が協会のトップクラスの住人だったとしても、協会内にいない限り、簡単には正式な情報が手に入ることはできない。

「わかっただろ?あんたらも俺もタイムリミットはこの夜が終わるまでだ。明日になれば俺らの出番はない。無理に動くと協会に目をつけられてしまうからな」


「・・・・。情報提供感謝する・・・。すぐにこちらも動こう。君には貸しをつくってしまいましたね」

「別にかまわねぇよ。今までどおり、こちらの邪魔さえしなければな。」

「もちろん。あなたと戦いたくないですからね。」

 そういうと、男は軽く会釈をし、その場を足早に立ち去った。おそらく、今晩の作戦とかを立てにいくのだろう。

 その後ろ姿をしばらく見送った後、番犬と呼ばれた男は軽くため息を吐く。

「やれやれ。俺も随分とお人よしになったもんだ・・・。」

 そういいながら、自分を見上げる犬の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でた。そして、番犬と呼ばれた男も、きびすを返し、来た道を引き返していった。その後を赤い三つの目を持つ犬は、彼の顔色を窺いながらゆっくりとついていくのであった。


                    *


 太陽は既にビル群の向こうへ沈んでいた。路上に等間隔で設置された街灯も夜を告げるように点灯を始める。


 この時より。長く怖ろしい夜が再び始まる。


<続く>

2008/01/13 (日) / 02:31

あなたの成功を祈っていると口で言いながら

あなたの失敗を望んでいる自分に気づいた

あなたが私を嫌ってしまうのが怖くて必死に応援しながら

あなたが私から離れてしまうのが怖くて失敗することを願っている

自分の心の矛盾に嫌気が差しながら

それしかできない自分にすがることしかできない

2008/01/13 (日) / 14:35

詩? / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) / PAGETOP

Chapter32「Crowd」



 そう。あの日も夕焼けが綺麗だったのを覚えてる。


「・・・・・由美なの・・・?」

 私には、目の前で起きている現状を把握するのが困難だった。血しぶきで真っ赤に染まった路地裏。体をビクンビクンと痙攣させながら悶絶する人間が路上に転がる。いや、それは果たして人間だったか・・?上半身は既にミンチにされており、唯一カタチの残っている足だけがついさっきまで生きていたことの証であるように痙攣を繰り返す。そして―――・・・。

「・・・・・・」

 私の問いに答えず、その悶絶する肉体の横に立ち尽くす者がいた。真っ青な顔色で、気味の悪い紫の口紅をつけているような唇が微かに動く。手には、人体の一部と思われるモノが鼓動しているように見えた。仕事上、よく見るものとは言え、それはあまりにグロテスクだった。

 そこに立つ人間は見間違えるはずもなく。確かに私の友人のはずなのに。「友人だ」と信じたい私と「あれは別人だ」と信じたい私とが脳内で論争を繰り広げていた。

「ねぇ・・・・由美・・・なんでしょ?」

 私はもう一度問う。それは、自分にも問いただすように。

 しかし、彼女は何も言うことなく、その場を走り去って行った。
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
 由美が行方不明になっていると聞いたのは、それから数日後のことだった。

 
 私の中で何かの消えた音が静かに寂しげに響いた。


     *


 「おい、着いたぞ。早く」

 突然の声によって私は現実に引き戻される。舞台は電車の車内。それだけを把握するのが精一杯なくらい寝ぼけている。

 「へ?え?は?」

 「いいから早く降りるぞ!電車が出てしまう」

 「は、はい!」

 私は慌てて席を立つと、意味もわからないまま今まさに閉まろうとしているドアへ向かってダッシュした。

 
 「ったく・・・。君が高美坂駅で降りるって言ったのに。」

 男は、少し苛立ちながらそんな言葉を洩らす。

 「す、すいません。ついつい、電車の揺れに誘われて睡魔が・・・」

 「まぁ、別にいいけど。それより病院はこっち側?」

 「あ、そっちじゃないです。大間出口のほうです。」

 私は、慌てて大間出口と書かれた看板を指差し、そっちに誘導した。そうだ。ようやく思い出した。私たちは、病院に行こうとしていたのだった。


     *


 始まりは私の一言だ。

 「今日病院にお見舞いに行くんですが、一緒に来てもらえませんか?帰りにお兄ちゃんのところにも行くんですが、そこに貴方を連れて行きたいんです。」

 こんな突然の申し出に彼は嫌な顔をひとつせずに、

 「うん。今日は暇だから別に構わないよ」 

 と、素直に了承してくれたのだ。あぁ、なんていい人なんだ!私は彼を切り裂いた事もある危ない人なのに。

 まぁそんなことで彼のイメージを完全に「超いい人!」とランク付けしていたのだ。

 ・・・・だけど。電車に乗るなり、その性格がだんだんとわからなくなっていった。


     *


 「はぁ・・・・」

 「ど、どうしたんですか?」

 「別に。さぁ、さっさと行こう」

 ついさっきまでの笑顔や優しい態度は何処へやら。言葉も減り、明らかに別人のようにげっそりとした表情で早足のまま駅の改札口へと向かっていた。その態度、なんかお兄ちゃんにそっくりだ。

 (ううう・・・。もしかして、多重人格?それとも、さっきは猫かぶってたのかな?)

 とにかく、彼の考えや性格がまた分からなくなってしまった。

 「おい。急いでよ。」

 「あ、はい〜」

 とりあえず私は彼に合わせて早足のまま、人ごみの中へ消えていった。

  

2008/01/26 (土) / 14:59

Chapter33「Origami」

「・・・・ふぅ。よ、ようやく着いたか・・・・」

 灰色の建物を見上げながら、彼はそう言った。その雰囲気は例えるならば息継ぎに失敗して命からがら25メートルをクロールで泳ぎ切った魚みたいだった。魚はエラ呼吸だろ、と突っ込まれた方。これは例えなので気にしないでください。
 とにかく顔面蒼白とまではいかないが、明らかにげっそりとやつれている。

 いい加減心配になる。お見舞いに来たのに、この人がお見舞いされる側になってしまうのではないだろうか。

「ほ、ほんとに大丈夫ですか?もしかして、体調悪かったとか・・・?」

「あ〜・・・大丈夫。ごめん、心配かけたね。」

 そこには、いつもの彼の笑顔があった。げっそりとはしているけれど。

「・・・・なにかあったんですか?」

「いや、なに。ちょっと人ごみが苦手でね・・・。」

「はぁ・・・そうなんですか・・・」

 あの様子だとちょっとというレベルではないです。しかし、人ごみが苦手とはかなり苦しい。この街で他人のいない空間なんてあるのかも怪しいほど人だらけなのだから。

「それより、早くお見舞いに行ってきなよ。僕はここの待合室で休んでるから」

 そういいながら、彼は待合室のイスに腰掛けた。

「あ、はい。それじゃちょっと行ってきます。たぶん20分近くかかってしまうと思いますけど・・・」

「ああ、いいよ。ゆっくりとしてきて。」

 ひらひらと手を振りながら見送る彼に私は1度軽く会釈をすると、急いでお婆ちゃんの病室へと急いだ。


     *


「ふぅ・・・」

 僕は、まるでめり込むようにイスに深く座り込んだ。しかし、さすがに疲れたな。田舎での生活が長かったためか、どうも人ごみに入ると頭痛がするのだ。いい加減慣れなきゃいけないんだが。どうしても他人の視線が気になってしょうがないのだ。

 はぁ・・・とため息をこぼしながら上を見上げるとそこに設置されたTVからニュースが流れていた。なんでも、某工場から出た廃棄物を山奥に捨てていたのがバレ、逮捕されたというものらしい。なんというかこの手の事件が多すぎてさすがに見飽きたテーマだ。

「愚かだとは思わんかね?少年」

「え?」

 突然の声に驚き、横を見る。そこには一人の老人が座っていた。その一見幽霊みたいにげっそりとした老人は、こちらを見ずにTVの方を向いたまま、手元で折り紙を折っていた。手元を見ずに折られていくソレはわずかな時間で見事な鶴を折り上げていた。が、そんなことに関心している僕に気づかずに老人は話を進める。

「人間はいつもそうだ。自分にとって不利なものをいつも遠くへ、自分から見えないところへ捨てることでしか解決方法を見出せない。それが結果として、自分をより不利にしているのに。」

「は、はぁ・・・そうです・・ね。」

「少年。君も気をつけたほうがいい。大切なモノも汚いモノも自分の手の中にあることが一番いいのだよ」

「わ・・わかりました・・・」

 ・・・・・なんことやら。このときは、何を言ってるのかよくわからなかった。だから、とりあえず相槌をうっておけばいいか、とそんなことを考えながら返事をしていた。

 そんなこっちの状況はお構いなしにニュースキャスターは次々にニュースを読みあげていく。一言も噛まずにあそこまでペラペラと喋れるのは正直羨ましい。

 そしてしばらくすると、ニュースは遂にあの話題に入った。

「それでは、昨日晩起こった連続殺人事件についてです」

「・・・これか」

 TV画面を見る。そこには昨日晩殺人が起こった現場が映し出され、その現場からの生中継をしていた。

「え?」

 テロップに表示された住所。それは僕の住んでいるアパートのすぐ近くだった。知らなかった・・・。殺人が自分の身近な場所で起こっていたなんて・・・・。
 そう思うと少しだけ寒気がした。しかし、ほんとの悪夢はこの後に控えていた。

「被害者は、20代と思われる男性で、現在身元を確認中です。」

「・・・・・・」

 一瞬視界が白くなった。

 あぁ・・・。このとき、どうしてこんなにも頭の回転が早かったのか。この街だけでもどれだけの数の20代がいるか。そんなこと考えるまでも無い。だから、たった今脳裏を駆け巡って行った事なんて、忘れてしまえ。そう、必死に願えば願うほど次々に線と線が繋がっていき、不幸な結果を演出していった。
『昨日、僕の家に来た・・・・。』、『今朝から連絡が取れない』、『僕のアパートの近くで殺人事件』、『被害者は20代男性』・・・・。

 たったこれだけのことで。たったこれだけの情報なのに。

 僕の頭は、「あいつ」が殺されたと。そう叫んでいた。


「・・・・・ありえねぇ・・・・」

 膝が震えた。嫌な汗が背中を流れる。必死に否定した。自分の考えすぎだと。だけど、そううまくいくはずもなく。僕は言い知れぬ絶望感のようなものを味わった。


「急ぎなさい」

「え?」

 老人は呆然としている僕にそう言った。そして、ゆっくりと腰を上げながら、最後になにか意味深な言葉を残して去っていった。

「急がないと間に合わなくなる。全ての伏線が繋がってしまう。この世に・・・・・・人じゃない人が・・・・・生まれてしまう・・・・」

、と。



 老人の座っていた席には、20の折り鶴があった。

 20・・・。それは偶然か、故意か。昨日の被害者と同じ数だった。

2008/01/26 (土) / 15:06

HOME